籠池容疑者ら逮捕で園児離れ深刻 森友学園再建に逆風、校舎売却が焦点

経営再建を目指す学校法人に、強い逆風が吹いた。31億円を超える負債を抱え、民事再生手続き中の「森友学園」(大阪市淀川区)。前理事長の籠池泰典(かごいけやすのり)容疑者(64)と妻の諄子(じゅんこ)容疑者(60)の逮捕は、経営の基盤である幼稚園からの園児流出を、さらに加速させることになりかねない。 

 両容疑者の逮捕から一夜明けた1日朝、夏休み中の塚本幼稚園(同)に人の出入りはほとんどなく、子供を一時預けにくる保護者の姿もなかった。そうした中、大阪地検の係官ら十数人が午前9時半ごろから、幼稚園の捜索を開始。この日は報道陣のカメラも少なく、係官らは段ボールを抱え、淡々と建物内に入っていった。

 一方、学園の管財人弁護士は籠池容疑者の経営責任を問い、約11億9300万円の損害賠償請求権の査定を7月20日付で大阪地裁に申し立てた。今後、地裁が責任の有無と賠償額を決める。管財人は2人の逮捕について「民事再生に影響はまったくない」と強調した。

 学園の再建で、最大の焦点となっているのは、大阪府豊中市の国有地で開校を目指していた小学校校舎の売却交渉の行方だ。校舎は学園への引き渡し前のため、施工会社が占有している。この会社が届け出た建築費などの債権は約16億円に上り、学園の管財人は土地と校舎の一体売却で債務を圧縮したい考えを示していた。

 ただ、その場合は国の協力が不可欠となる。国は6月29日、学園に1億3400万円で払い下げた国有地を、特約に基づき売却額と同額で買い戻した。原則更地にする特約もあり、国は校舎を取り壊した場合の原状回復費用を約10億円と算定、学園への債権として大阪地裁に届け出た。国が売却に応じない場合は破産手続きへの移行も現実味を帯びる。

 仮に売却が実現しても、再建には幼稚園の入園者数を大幅に増やすことが不可欠となる。夫妻の長女で、新たに理事長に就任した町浪(ちなみ)氏は両親を経営に関与させず「学園の刷新」を強調しているが、子供の園離れは深刻化している。昨年度の園児数は158人だったが、現在は70人と半分以下に減っている。

 管財人は大阪地裁に提出した報告書の中で、収益確保には現状の「3倍以上」の園児数が必要と試算。しかし旧経営陣への強制捜査により「風評被害の回復は容易ではなく、教諭の確保も困難が予想される」と指摘している。

 大阪府と大阪市も、これまでに幼稚園に支給した補助金計約6600万円が不正受給に当たるとして返還を要求。さらに系列保育園も不正受給や保育士不足の問題を抱え、大阪市が7月1日に事業停止命令を出したことで閉園状態となっている。