王座陥落の山中慎介、TKO負けに「トレーナーを責めることもないです」
プロボクシングWBC世界バンタム級タイトルマッチで、日本記録に並ぶ13度目防衛を逃した山中慎介(34)=帝拳=が王座陥落から一夜明けた16日、京都市内のホテルで会見を行い、進退について保留した。「きょう会見を開くということでいろいろ考えたが、きょう進退についてはすぐに出せないです。もう少し考えさせて下さい」と語った。以下一問一答。―一夜明けて。
「13回目の試合で初めてTKOで負けました。もちろん自分自身も悔しかったですけど、あれだけ期待してきてくれてるお客さんもいて、本当に楽しみにしてくれた方には申し訳ない気持ちでいっぱい。お客さんの期待に応えられなかった悔しさと自分自身出し切れなかった。もうちょっとできたかなと思う。(レフェリー)ストップに関しても映像で確認したら、自分では効いてる感覚はなかったんですけど、実際、バタついてて。(だから試合を止めた)トレーナーを責めることもないです。ダメージの方はないですけど、いろいろと朝まで考えてました」
―今後については。
「きょう会見を開くということでいろいろ考えましたが、きょう進退についてはすぐに出せないです。もう少し考えさせて下さい」
―進退を出すめどは。
「もちろん何か月も引っ張るってことは絶対ないんですが。期限を決めてしまえば、そこまでに決めてしまわければというものある。はっきりと言えないですけど、そんなに長くないです。非常に大事なことなんで。落ち着いて考えて決めたいと思います」。
―進退を決める上で大事な点は。
「いけるなという感覚もあったんで。そこが考えるとこですね。自分自身、体は大きなけがもないし、いけるかなと思う。今回もダメージないし。それでもここ最近の試合内容というのも危なっかしい場面もあったんで。出し切ってないから悔しい部分もある。それは確か。そういう意味でももう少し考えたい」
―挑戦者のネリは?
「すべてにおいて負け以外は想定内。一発のパンチ力はなかったですけど、荒々しく(パンチを)振ってきた時に焦りもあったと自分自身思いました」。
―ネリへのリベンジは。
「もちろん考えるところはネリだけですね。正直、本当の自分の気持ちとしては納得いく勝ち方であれば、それでもういいのかなと思ってたんでね。それもこういう内容だったんで、逆に悩んでるところ」
―WBCのベルトを失った。
「こういった会見でベルトがないのはすごく違和感ありますね。元チャンピオン、前チャンピオンになるんだなと。結婚してからずっとチャンピオンだったから何か違和感あるのかなと。
―どんな夜を過ごした?
「(試合後に)ホテルに帰ってきて、1時間後に別のホテルの妻がきてくれて朝方までいろいろと話はしました」
―どんな話を?
「(夫人は)素人なんで、もうちょっとやれたとか、あまり分かってなかった。『今後やるにしてもやめるにしても本人に任せる。好きなようにして。後悔のないようにしてね』と言われましたね。昔からそうだったんですけど、『結果は正直どうでもよくて無事に帰ってきたらそれでいい』と伝えられてきました。『皆さんに本当にごめんね』と言ったら『こんなこと言わないで』と。自分は『人を喜ばせたい気持ちは人一倍持ってる。それを達成できなくて済みません』と伝えました」
―プロ初黒星でもあった。
「防衛している中でも勝利の中でも勝って悔しかった経験はあります。負けてタイトル奪われて悔しいのは初めてなんで、きのうからずっとつらかった。結果は出たんで、言い訳はできないですね」
―試合の映像を振り返って。
「フルで見てないですけど、出だしの1ラウンドはすごくいい感覚がありましたけど、慌てた面もあったしガードが甘かった。自分が思ってる以上に映像では危なっかしいという印象でしたね。距離を詰めて戦うのは想定内でした。バックステップもそうだし、サイドも回れなかったのも連打を許した要因。足も止まってたのも敗因かなと思います」
―試合が止まった瞬間は。
「相手が連打をしてきて止まってバタついて焦った部分はありましたけど、いけると思ってました。まわりから見たらどうか分からないですけど、そう見させてしまった。(トレーナーの)大和さんもいつも自分の練習を見てくれていたんで(試合を止める判断を下した)。それでもまだやりたい気持ちはあった。まわりから見たらピンチかも知れないですけど、これを乗り切ればという気持ちもありました」