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トヨタ社長「競争相手変わる」 グーグルなどライバルに

トヨタ社長「競争相手変わる」 グーグルなどライバルに

トヨタ自動車の株主総会が14日、愛知県豊田市の本社であった。取締役9人を選ぶ議案や、取締役報酬の総額の上限を賞与を含めて年40億円に引き上げる議案など、会社提案の4議案を可決した。会場には過去最多の5227人の株主が足を運んだ。

 トヨタは2018年3月期が2期連続の減益になるとの見通しを示している。株主からは、競争力の低下を心配したり、異業種からの参入企業や新興企業など新たなライバルへの対抗策をただしたりする質問が相次いだ。

 豊田章男社長は、電気自動車メーカーの米テスラや自動運転に力を入れる米グーグルなどをライバルと位置づけ、「競争相手とルールが変わろうとしている。(トヨタの)等身大の姿を見つめ競争力を磨きたい」と話した。

 先進技術を担当する伊勢清貴専務役員は自動運転について「この世界では絶対に負けないつもりだ」と発言。自前主義を脱却し、外部人材の登用や提携を進めていると説明した。

トヨタとホンダをまねた「中国車」躍進のワケ

トヨタとホンダをまねた「中国車」躍進のワケ

安かろう悪かろう――。そんなイメージが付いて回る中国製品。自動車もその一つだった。しかし、そんな”常識”が変わりつつある。

「外資への出資規制を秩序立てて緩和する」。中国工業情報化省は4月25日、外資企業の自動車生産に関する規制緩和について初めて公式に言及し、業界に衝撃が走った。

 中国で外資企業が自動車を生産するには、中国企業と合弁会社を設立しなければならないうえ、外資企業の出資比率が50%を超えてはならないという規制が設けられている。そのため、トヨタ自動車は第一汽車や広州汽車と、独フォルクスワーゲン(VW)は上海汽車や第一汽車と、といった具合に、外資各社は中国企業と合弁生産を行っている。

トヨタに学んだ中国ブランド車が台頭

外資との合弁生産を通じて技術力を高めてきた中国の自動車メーカーが今、独自ブランド車(合弁生産の車とは別に独立展開する車)でその頭角を現し始めている。

 成長株として注目されているのが、中国南部の広州に拠点を置く広州汽車だ。販売規模(合弁生産含む)は中国で6位とあって、上海汽車や第一汽車などには及ばない。だが、「広州汽車の独自ブランド『トランプチ』は、中国現地ブランドのダークホースになる」(中国自動車市場に詳しい現代文化研究所の呉保寧上席主任研究員)と期待される。

広州汽車とは?

広州汽車は、1998年にホンダと生産合弁会社を設立したのを皮切りに、日系との協業を進めてきた。このほど来日した広州汽車の曽慶洪会長は、「ホンダやトヨタなどの日系メーカーに学ぶことで、技術や品質、人材のレベルを上げてきた」と手ごたえを語る。

 広州汽車は現在、ホンダやトヨタ、日野自動車、三菱自動車という日系メーカー4社と手を組んでいる。同社以外に、これだけの数の日系メーカーと合弁を持つ中国メーカーはない。「広州汽車は日系各社をまねて工夫しながら自主ブランドを育ててきたため、品質も評判もよい。今後、中国でさらにシェアを伸ばすだろう」(前出の呉氏)。

 こうした商品性を武器に広州汽車は世界での競争に打って出る。曽会長は、「2019年にも独自ブランド車の米国輸出を開始し、ブランドの国際化を進める」と意気込む。今年1月には米デトロイトで開催された北米国際自動車ショーに、トランプチを出展。その反響は大きい。「すでに2000を超える販売店から引き合いを得ている」(曽会長)。

 中国政府は「2025年には複数の中国現地ブランドが世界の自動車メーカーのトップ10に入る」というシナリオを描いており、広州汽車もこの流れに乗って、海外進出を急いでいる。

 中国の自動車市場は2016年、前年比14%増の2800万台と米国の1.6倍の世界最大市場に成長した。その中で、現地ブランドのシェアは年々高まっている。2016年の中国系のシェアは43.2%とこの3年で2.9%高まったのに対し、日系は15.5%と同0.9%シェアを落とした(乗用車販売ベース、マークラインズ調べ)。

日産も中国メーカーの勢いに危機感

日系メーカーで中国販売が最も多い日産自動車の西川廣人社長は、「中国現地ブランドの伸びが非常に大きい。彼らのエンジニアリング技術や車の品質が格段に上がっている」と危機感を募らせる。

 独自ブランドで存在感が増す中国現地メーカーとしては、スウェーデンのボルボを買収したことで話題となった吉利汽車(ジーリー)や、SUVに注力する長城汽車、電池メーカー発祥でプラグインハイブリッド車を得意とする比亜迪汽車(BYD)などがある。

「日系メーカーは若者対策を急ぐべき」

 前出の呉氏は「日系メーカーは若者対策を急ぐべき」と警鐘を鳴らす。

 中国では「80後」「90後」と呼ばれる1980〜90年代生まれの若者層が、これからの消費の主役になる。支払い能力に限界がある彼らは、走行性能やデザインよりも、スマホとの連携のしやすさなど「コネクティッドカー」としての機能を重視する。

若年層は車内でのネットの使い勝手を重視

IT大手のテンセントやアリババが展開するネットサービスを、車の中でもそのまま使いたいというニーズは高い。そうした機能さえ充実していれば、中国現地ブランドでも抵抗を感じないのだ。中高齢層が外資との合弁で生産された車を好んできたのとは異なる購買傾向を示している。

 さらに、日系勢は欧米勢との競争でも苦戦を強いられている。2016年の中国販売はホンダが129万台で、トヨタが121万台と、VWの398万台や米ゼネラル・モーターズ(GM)の387万台の半分にも達していない。

 広州汽車の曽会長は日系のシェアが中国で低いことに関して、「VWの車種が豊富なのに対し、日系勢は中国での車種展開が保守的。中国人ニーズに合わせた車種を拡充すれば、シェアを巻き返せるだけの実力は持っている」との見解を語る。

 中国自動車工業会は今後の販売台数について、2017年に前期比6%増の2965万台を、2020年までに3000万台超を計画している。日系メーカーにとっては、米国や国内市場が成熟期に入っている以上、膨張が続く中国市場で1%でもシェアを失うことは手痛いはずだ。

 劣勢に立つ日系メーカーは、中国での軌道修正が求められそうだ。
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